2020年8月作成
南面外観

「地域住民との共生」をコンセプトに
新たな都市型配送センターを構築

様々なアイディアを取り込み、地域に根差した施設設計を実現

プロジェクト概要

本プロジェクトは、ヤマト運輸様の「世田谷におけるセンター店統合」と「地域住民の方との共生を目指した宅急便センターの構築」というコンセプトをもとに、設計を行いました。
建設地は世田谷通りから至近で、小田急線「成城学園前」駅からも徒歩10分程の住宅街に位置しており、配送スピードが要であるヤマト運輸様にとって理想的な立地です。

背景

東京外郭環状道路「東名ジャンクション」の建設に伴い、ヤマト運輸様の配送センター(喜多見店)の立ち退きが必要となり、本敷地にて新たにベース拠点(南東京主管支店)と集配所の中間にあたる配送センターを新築することになりました。

F&Pの提案

道路は敷地西側と北側が面していますが、西側道路の交通量が多い為、北側道路を運送車両の専用出入口とし、西側道路の交通渋滞に配慮しております。
また、西側と北側では最大約2.5mの高低差があった為、地盤の低い北側を階高が必要な配送ゾーン、西側に事務所・カフェゾーンを配置することで、それぞれの用途による必要階高の不均衡を解消しております。これにより、開発許可申請のプロセスを無くしてプロジェクトスケジュールの短縮を図るとともに、1・2階の事務所内からは配送ゾーンを広く見渡すことができ、オペレーションのしやすい環境を創出致しました。1・2階の配送ゾーンは低床式の配送センターとし、基本スパンは限られた敷地の中で運用しやすいスパンをヤマト運輸様と実車で軌跡を検証しながら設定しております。
立地が閑静な住宅地である為、配送車が上階に向け通行するスロープ(車路)には屋根・外壁を設け、配送車の騒音やヘッドライトの光を遮断する計画としております。配送ゾーンの1階には世田谷区の災害備品を保管する倉庫を設け、有事の際には地域住民の方にご活用頂ける施設を併設致しました。事務所ゾーンの1階にはカフェが入り、日常的にも利用頂けるような施設を目指しました。
また、もともと敷地内には地域住民の方に親しまれている桜並木がありましたので、桜並木は可能な限り残し、カフェ前に設けた緑地帯、歩道状空地と併せて一体感のある緑豊かな環境を創出致しました。
一般的な物流施設の外観は無彩色や寒色の色調が多く、冷たいイメージとなりがちですが、事務所ゾーンのアクセントとしてアンバー系サイディングを用いて、周辺の街並みやカフェに馴染むようにすることで「地域住民の方との共生」を大切にした施設デザインと致しました。

南面外観(夜景)
1F カフェ
スロープ 屋根・外壁を設け、騒音やヘッドライトを遮断
1F 防災備蓄倉庫
北西面外観
From 担当者

設計・建設支援本部
設計第一部
課長
河村 雅博
(役職:2020年7月現在)

日本を代表する閑静な住宅地と言っても過言ではない『成城』。更に計画地は小学生が多く、利用するバス停の前という立地。その地にトラックの出入りが多い宅急便センターを建設する為には、地域住民の方のご理解が不可欠でした。実際、地域住民の方々との協議を重ねながら、その度に建物の形態も進化し、最適化していきました。結果として、ヤマト運輸様の街中にある宅急便センターのプロトタイプとして高い評価を頂くことができました。